滋賀県北部で見つけた、地域研修の課題と可能性

第3回 共創会議レポート

2026/01/29

2026年1月29日、滋賀県長浜市にて「第3回 共創会議」を開催しました。

今年度の総括となる今回は、前半に長浜市のものづくり企業である扶桑工業株式会社様の製造現場を訪問し、「企業の組織風土や改革のプロセスが、いかに研修コンテンツになり得るか」を体感しました。後半は会場を移し、今年度の企業ヒアリング等から見えてきた事業成果の共有と、次年度以降の「実装」に向けた地域事業者同士の率直な意見交換が行われました。

【第一部】ものづくり企業の製造現場から学ぶ
「見える化」と組織風土改革 (扶桑工業株式会社)

前半は、建設機械部品・産業機械・自動車部品等の製造を行う扶桑工業株式会社様の長浜工場を訪問しました。同社では、生産現場だけでなく間接部門も含めた全社的な「VM(Visual Management=見える化)活動」を推進しています。単なる「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」にとどまらず、従業員の自主性向上やチームワークづくり、リーダーシップの育成を最大の狙いとしており、その徹底した取り組みを現場で見学させていただきました。

また、若者の製造業離れが進む中での「やんちゃな採用活動(ヤンチャあつまれ)」や、エンゲージメントサーベイを活用した「心理的安全性の高い組織づくり」、公平な評価制度の導入など、時代に合わせた柔軟な組織変革の歩みについてもお話を伺いました。

参加者にとっては、滋賀の美しい自然や伝統文化だけでなく、 「地域企業が悩みながらチャレンジしているプロセス」や「組織風土改革の工夫」そのものが、外部企業にとって非常に価値のある『生きた教材(研修コンテンツ)』になる という大きな気づきを得る時間となりました。

第3回共創会議 扶桑工業株式会社様の製造現場見学
第3回共創会議 扶桑工業株式会社様の製造現場見学の様子
【第二部】本年度(令和7年度)の総括と未来に向けた意見交換
地域と企業の「共創」をどう実装するか (県民共済ドーム長浜 宿泊研修館)

後半の会議では、事務局より今年度の企業ヒアリング(約35社)で得られたリアルな声と、今後の方向性が共有されました。

企業側は地域での研修に対して「行動変容」や「価値変容」、そして「現場を知ること」を強く求めている一方で、「研修効果をどう定量化・社内説明するか」が導入のネックになっている現状が報告されました。また、高島市役所や長浜市役所からも企業研修の受入れ事例を紹介いただき、受入企業側にも「自社の取り組みの再言語化」「社員の自信向上(インナーブランディング)」「関係人口の創出」といった大きなメリットがあることが確認されました。

グループワークと意見交換

後半のグループワークでは、「どうすれば北の近江が『企業研修の受入れが盛んな地域』になるか?」をテーマに活発な議論が交わされました。次年度の実装フェーズを見据え、参加者からは期待とともに率直な「モヤモヤ」や課題感も共有されました。

  • ① 具体的な参画イメージの解像度向上 「企業研修誘致に向けた方向性は理解できるが、自社が具体的にどう関われるかが見えづらい」といった不安の声が挙がりました。これに対しては、1社単独で完璧なプログラムを用意するのではなく、地域内で連携し、複数の体験をパッケージ化していくことの重要性が確認されました。
  • ② 企業ニーズへの「翻訳力」の必要性 単なる体験をそのまま提供するのではなく、「企業の抱える課題(リーダー育成やチームビルディングなど)」に合わせて、地域の体験をどう意味付けし、翻訳するかが鍵になるという議論が深まりました。
  • ③ 地域と企業のメリットの接続 「受け入れ側の負担に見合うメリットをどう作るか」という議論に対しては、外部の視点が入ることで地域側が自信を持てる効果や、将来的な採用・事業連携への期待が語られました。また、参加していた旅行会社からは「企業との具体的な結びつけ(マッチングや営業面)でぜひ協力したい」という心強い声も挙がりました。
第3回共創会議 グループワーク
第3回共創会議 グループワークの様子
おわりに

「第1回の時はフワッとしていたが、少しずつ具体的な形が見えてきた」「単体で頑張っても限界がある。地域全体で繋がって魅力を伝えていきたい」といった声で締めくくられた第3回共創会議。

今年度の活動(共創会議やモニターツアー)を通じて、企業が求めるニーズと、北の近江(長浜・高島・米原)が提供できる価値のすり合わせが大きく前進しました。次年度以降、この熱量を具体的な「研修プログラムの実装」へと繋げ、地域と企業が共に成長する新しい関係人口の形を作っていくための確かな一歩となりました。