熱海から学ぶ、企業研修を起点とした地域づくり
第4回 共創会議レポート
2026/07/13
2026年7月13日、滋賀県長浜市にて「第4回 共創会議」を開催しました。
2026年7月13日、滋賀県長浜市にて「第4回 共創会議」を開催しました。今回は、株式会社Gensen&Co 代表取締役の佐々木梨華氏を講師に迎え、熱海での企業研修誘致・地域再生の先進事例についてご講演いただきました。前半では、「企業研修」を単なる研修事業としてではなく、地域づくりや関係人口創出につながる事業として捉える考え方や、地域資源を企業の学びへと転換する実践について学びました。後半では、参加者同士による意見交換を行い、県北部地域が「企業研修の受け入れが盛んな地域」となるために必要な視点や課題について、多様な立場から活発な議論が交わされました。
【第一部】熱海から学ぶ「企業研修を起点とした地域づくり」
熱海での企業研修誘致と地域再生の実践 (株式会社Gensen&Co 代表取締役 佐々木梨華氏) (グランメルキュール琵琶湖リゾート&スパ 13階 ミーティングルーム6)
第一部では、株式会社Gensen&Co 代表取締役の佐々木梨華氏より、熱海で取り組まれている企業研修誘致と地域再生の実践事例についてご講演いただきました。かつて熱海は、団体旅行の減少や商店街の衰退、空き家の増加など多くの地域課題を抱えていましたが、「観光地」ではなく「何度も訪れたくなる3rdプレイス」という視点で地域づくりを進め、空き家のリノベーションや地域コミュニティの再生などを通じて新たな価値を創出してきました。講演では、企業研修は単なる研修事業ではなく、「まちづくり事業」の一部であるという考え方が紹介され、人・歴史・文化・産業・地域課題といった地域資源そのものが企業の学びにつながる教材となることが示されました。また、企業が求めているのは完成されたプログラムではなく、地域に入り、人と対話し、現場を観察しながら課題を発見・検証するプロセスそのものであることも共有されました。さらに、「100万人が1回来る街よりも、1万人が100回来る街を目指す」という言葉に象徴されるように、企業との継続的な関係性を築き、企業研修を地域活性化や関係人口の創出につなげる視点の重要性について、多くの示唆を得る機会となりました。
【第二部】地域で企業研修を育てるための意見交換
後半の会議では、第一部の講演を踏まえ、北の近江にある多様な地域資源を、どのように企業研修として形にしていくかについて意見交換が行われました。参加者からは、自然体験や農業、乗馬、工場見学、医療・福祉など、研修に活用できる資源は豊富にある一方、それらを企業の学びとして言語化し、営業・企画・コーディネートする人材や時間が不足しているとの声が挙がりました。また、企業へ価値を伝えるためには、「自然が豊か」「体験ができる」といった魅力だけでなく、どのような行動変容やウェルビーイング向上につながるのかを示す理論やエビデンスも必要との意見が共有されました。今後は、行政・地域事業者・研修会社などが役割を分担し、それぞれの資源や専門性を組み合わせながら、一人の担い手に依存しない持続可能な受入れ体制をつくることが重要であると共有されました。
グループワークと意見交換
後半のグループワークでは、「北の近江ならではの地域資源を、どのように企業研修の価値へと転換するか」をテーマに、参加者それぞれの立場から意見が交わされました。地域の可能性への期待とともに、実装に向けた具体的な課題も共有されました。
- ① 地域資源を企業研修へ変える「言語化・編集力」 アウトドア、農業、乗馬、自然体験、工場見学など、地域には多くの体験資源がある一方、それらが企業にとって「どのような学びや変化につながるのか」を説明することが難しいとの声が挙がりました。体験をそのまま並べるのではなく、企業が抱える課題や人材育成のテーマと結びつけ、北の近江ならではの学びとして意味づけ・編集する力が必要であるとの認識が共有されました。
- ② 営業・企画・コーディネートを支える体制づくり 地域事業者は、施設運営や参加者へのサービス提供には強みを持つ一方、企業への営業や研修設計、複数事業者をつなぐ調整までを単独で担うことには限界があります。行政や専門家、支援機関が間に入り、企業との接点づくりやプログラム化を支える仕組みへの期待が共有されました。
- ③ エビデンスを生かした地域独自の価値づくり 自然環境に加えて、医療・福祉・心理などの専門資源を組み合わせることで、心身の健康やウェルビーイング向上につながる独自の研修をつくれる可能性が示されました。企業へ提案する際には、ストレス軽減や心理的効果などを示すエビデンスを整え、他地域との差別化につなげることが重要との意見が挙がりました。
おわりに
今回の共創会議では、熱海の実践事例を通じて、地域資源をそのまま提供するのではなく、企業の学びへと編集し、地域全体で新たな価値を生み出していくことの重要性が示されました。また、後半の意見交換では、地域には多様な資源や可能性がある一方、それらを企業へ伝えるための言語化や営業支援、地域内での連携など、今後取り組むべき課題も明らかになりました。今回の共創会議を通じて、企業研修誘致を単なる交流人口の拡大ではなく、地域資源の再発見や関係人口の創出につながる取り組みとして捉える共通認識が深まりました。今後も、行政・地域事業者・企業・研修会社がそれぞれの強みを持ち寄りながら、県北部地域ならではの企業研修プログラムの実装と、持続可能な受入体制の構築に向けて、共に挑戦を続けていきます。
共創会議レポート





